「巨大政府機関の変貌」
チャールズ・O・ロソッティ著、大蔵財務協会
民間企業の社長が初めてIRS長官になり、組織改革に取り組んだ回顧録。
この本でも電子申告推進の話が出てくる。
「電子申告の最大のハードルは何百万人もの納税者や税務の専門家が、この新しいサービスを利用するために自らの習慣を変えなければならないことであり、しかも強制されるのではなく自発的にそうしなければならないことであった。言い換えれば、IRSは、顧客のニーズを充たすサービスを提供するとともに、そのサービスを利用するように人々を説得する、有能なマーケティング担当者にならなければならないということである。」
こうして電子申告の担当者たちは、申告代行業者、ソフトウェア開発業者、納税者、そしてIRSの職員を巻き込んで、人々のニーズを汲み上げてサービスを改良していく。デビットカードやクレジットカードによる納税、インターネットによる電子納付、自動対応電話を使っての申告期限の延長、署名文書に代えての「共有の秘密」方式(電子署名のことか?)の採用。
また全国の税務署に電子申告のサポートグループを置き、申告代行業者が申告を電子申告に切り替えるサポートをした。
ソフトウェア業界とは合意を取り付け、IRSが自ら開発したソフトウェアを納税者に無償提供しない代わりに、納税人口の60%以上が、業界団体の作る申告書作成のためのウェブサイトを無料で利用できるようにした。これは日本の税理士会の税務支援と同じ仕組みと考えられる。
こうした結果、1998年に15%であった電子申告が、2003年で40%(5千万人以上)にまで増加した。
日本の国税庁も、現在、電子申告の数字をのばすことに努力しているが、強制するのではなくマーケティングするのだという立場から、関係者のニーズを汲み上げて、システムの改良、導入のサポートに努めて欲しいものである。
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